山王川と言えば、私などは龍神山の神話的イメージを連想します。龍神山の麓に近い柏原池を水源として石岡の台地の下を流れ霞ヶ浦に注いでいます。コンクリートで用水路のように固められ、さらにフェンスで覆われた山王川の風景には誰もが幻滅を感じるのではないでしょうか。「♪兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川」という農村の風景は今では幻想風景に過ぎないのかもしれないと感じます。山王川は少し前まではどぶ川だったといいます。この山王川のこの川底に御影石を置くことによって植生を定着させ、植生生息地をつくることで水質浄化を図る取り組みが行われています。石岡市がアサザプロジェクトと連携して行った環境再生の取り組みです。「山王川みかげ石水質浄化実験施設」という説明板には、「御影石の廃材を再利用し河川の自然を取り戻し、魚が住み、水辺の植生を再生させるため、かごマットと水性植物を併せた浄化実験施設です。」と説明されています。この説明だけでは、どのように水質浄化が図られ、効果を上げているかよくわかりませんね。後日、アサザプロジェクトの飯島博さんからうかがった話によると、石を置いた場所には、ミズアオイやフトイ、マコモなどが定着し、この年2000年には、ハグロトンボが住み着いて産卵したと言います。なるほど、ただ見ただけではこのような効果があらわれていることはわかりませんね。
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