近代に入ってもなお舟運は栄えました。茨城県土浦市街、石岡市高浜、千葉県香取市(旧佐原市)街などを見ると、当時の繁栄が偲ばれる古い屋敷、雰囲気がわずかですが、まだ残っています。物資の輸送には、帆を張った高瀬舟が用いられたと言います。『霞ヶ浦風土記』(佐賀純一編、常陽新聞社、1995年)には、高瀬舟時代の思い出を語る古老の話が収録されていて、当時の状況を垣間みることができます。このように隆盛を誇った舟運は、常磐炭田から石炭を京浜地区へ移送するために開設された常磐線によって、次第に陸路中心の交通へと移行していき、舟運の時代は終わりを告げることとなりました。
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