分類: かすみがうら*ネット概要
(登録日: 2000/09/03 更新日: 2001/11/08)
「かすみがうら*ネット」は、ナレッジマネージメント(KM:Knowledge Management)を試行するメディアです。ここでのKMは、市民主体による「知識の創造」、「知識の共有」の意味で用いています。
IT革命により、情報や知識のあり方が従来とは大きく変わることが予見されています。
自然や地域などに関わる情報は、博物館・資料館等への蓄積、出版といった形態を取るためアクセスがしにくく、情報流通の契機を欠いていました。情報資源のこうしたアクセスの難しさが原因となって、知識は「閉じられた知の体系」という性格を帯びてきました。これらの情報資源を所有し知識を創造できる少数の人がその分野の専門家とみなされてきました。
一方、知識を伝達するメディアは、出版、放送、博物館展示など一方通行的な伝達に制約されてきました。知識もこれらのメディアによって伝達される傾向にあり、ややもすると知識は自ら生産するものというよりも他者から受け取るものと考えられてきました。
ITの普及、とりわけインターネットの普及は、知識を「開かれたもの」とし、皆が知識を創造し、それを皆で共有するものへと変えようとする状況を生み出す契機となっています。このことは、「教科書」によって知識を伝達する従来型の教育のあり方に対しても変化を促すものです。これらをどのように支援し実現していくかにKMの課題があります。
アーカイブとは何らかの貯蔵庫、ここでのアーカイブは情報・知識の貯蔵庫の意味で用います。
国家的な事業として、また自治体等地域の事業としてデジタルアーカイブの整備が行われつつあります。現実には、事業予算や人的能力などの限界、著作権などの問題が壁となって、思うようにアーカイブ化が進展していません。国や自治体などが事業主となって公共事業的に行うアーカイブ構築には多大な投資を必要とするだけでなく、一方通行的に提供される従来型の形態が採られているように思われます。ある段階までの構築は公共事業で行えても、それを維持管理し、内容を更新し続けることは難しいのです。
皆で作り、皆で共有するデジタルアーカイブ、これが「かすみがうら*ネット」の特徴です。民意に動機づけられたものがなければアーカイブの成長は望めません。自らが知識創造を楽しむことが何よりも大切です。多くの人々が参加しその成果が集積されることで巨大な知のアーカイブが形成されることは、わずか数年の間に爆発的に増加したWebコンテンツの例が証しています。情報や知識の生産を楽しむことのできる文化を創造していくことが、永続的なデジタルアーカイブを支えます。
デジタルアーカイブ構築で常に問題になることの一つに知的所有権の問題があります。
インターネットに代表されるコンピュータネットワークの世界では、パブリックドメイン(またはオープンソース)の思想がその進展に大きく貢献してきました。ソフトウェアやデータなどの著作権を主張せず、誰でも無料で自由に使えるように公開しようというのがこの思想です。比較的新しい事例では、Linuxなどパソコンで稼働するUNIX(オペレーティングシステムの種類の一つ)のプログラムが多くの有志によって分散的に開発され、世界中の人々がその恩恵を受けています。
データ、コンテンツについてもこの方法は有効です。現行の著作権法では作者が権利のフリー宣言をしない場合は、その人の著作物とみなされ、皆がそれを再利用したりすることは難しくなります。フリーのデータ、フリーの更新可能な情報が提供されると、学校教育などで利用したり、他者の情報に新たな情報を付け加えたりすることができるようになります。「皆で作り、皆で共有する」無限の可能性を拓くことができます。
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