「マッピング霞ヶ浦*」が素材数十点ほどの規模から始め、約3年ほどで5万点規模にまで拡充できたことは「TripleCorn」を利用したことの端的な効果である。
「TripleCorn」は、教育委員会の学習センターのサーバや学校のサーバに専用の環境を構築し、教員・児童生徒などのエンドユーザが直接利用できるようにすることが望まれる。さらに「TripleCorn」を適用したASP(Application Service Provider)を運営することで、地域デジタルアーカイブの具体的な構築を図ることができる。
「分散型素材循環方式」は、大量・大容量のデータをネットワークを介して循環させることから、ネットワークの広帯域化、データ放送の援用といった環境改善により、実用性がより一層向上することが期待される。
今後は、放送のデジタル化、デジタル家電の普及、ビデオオンデマンドシステムの普及、ハードディスクの大容量化・低価格化といった状況の進展により、ホームサーバを分散の単位とする運用が現実味を帯びると想定される。このケースでも「TripleCorn」の適用が有効であろう。
「TripleCorn」を「かすみがうら*ネット」の実用に供することにより、システムの改善を今後とも継続的に行っていきたい。
地域に開かれたデジタルアーカイブ構築、分散環境で学習素材を学習者間で循環させる試みはこれまでに先行事例が殆どない。学校教育が地域に開かれていくことを指向するケースとなるものであり、ネット社会に相応しい学習環境の研究が望まれるものである。
参考文献およびWebサイト
注1)「かすみがうら*ネット」 http://www.kasumigaura.net/
注2) 前川道博、後藤忠彦(1999) 生涯学習支援システム「PopCorn」の開発と適用、日本教育情報学会第15回年会論文集11-1999、pp.190-193.
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