新島小学校付近の集落部を抜けると、周囲は何もない風景に変わってきました。水路(新左衛門川)の岸辺にはマコモが生えています。株の分かれ方がはっきりしているので、後から移植された株ではないかと推察しました。確かにこの辺りはマコモ以外に何もないという一種独得の風景が広がっています。ところで、この地域・佐原の水郷地帯を舞台にした映画『うなぎ』の風景は、ミケランジェロ・アントニオーニの映画『赤い砂漠』(1965年)の工場地帯を彷彿とさせるものがあります。『うなぎ』の台詞の中でも印象的だった「サハラ砂漠」(佐原砂漠のもじり)と『赤い砂漠』は、人工的で何もない風景、さらに言えば、目標を失い彷徨う主人公の心を外在化させた空間という共通項があるように思います。
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