行方市(旧玉造町)浜の湖岸に広がるこの葦原は最初見た時(1997/12/31)から大変印象に残りました。岸辺近くの湖にはアサザが群生しています。オニバスも浮かんでいますね。湖岸に葦やマコモが生えていると、そこには土砂が集まり、このような砂浜が形成されることがよくわかります。砂礫はなく、柔らかい砂ですから、葦やマコモが呼び込んだものです。アサザの群生する水域の底にもいずれは土砂が堆積して昔のような水辺環境が蘇生していくのでしょう。ところで、湖岸の葦原で人が中に入り込むことができるところは殆どありません。岸辺近くの辺りの葦やマコモが刈られ、砂浜の先端まで入り込むことができました。これらは地元の人に刈り取られたものでしょうか。葦やマコモが何かに役立てられているのではないでしょうか。これは地域の文化的なものではないだろうかと推察しました。私の実家のある安食(ちょうどこの行方市(旧玉造町)浜の対岸)にもマコモの文化があります。マコモは神事のしめ縄の材料となったり、お盆のお供え物の台座となったりして、マコモ文化は現代に生きています。おそらく浜でも安食と同じマコモの文化が受け継がれているものと思います。 葦、マコモは晩秋には枯れてしまいますが、この時期、10月初旬はまだ緑色をしていて、これから枯れ始めようとしているところです。すぐ目の前に迫る葦・マコモを見ると、護岸堤が築かれる以前、私の子供時代の頃までは残っていた霞ヶ浦の水辺環境の記憶が蘇ってきます。
|