湖面の波に陽光が眩しいぐらいにきらきらと輝き、美しいことこの上ありません。進行方向にまたも島が見えてきました。昔、藤村弘庵が霞ヶ浦・水郷を旅した時の紀行文『航湖紀勝』の一節が浮かんできます。「馬渡を発す。忽ち、長鯨の烟波の間に浮かびて隆脊(りゅうせき)にして脩尾(しゅうび)なるを見る。(略)浮島と曰う。」(藤村弘庵著、大森林造訳『航湖紀勝』、筑波書林、p.10)「長鯨」とはよく言ったものです。浮島は干拓されて陸続きになりました。元々は島だったところです。地図で見ても、細長く、中央部は細長く台地が続き、立体感のある地形をしています。長鯨という形容がぴったりです。もっとも藤村弘庵が見たのは馬渡から見たすぐ目の前の浮島です。現在の西の洲干拓地の流域を進んだのでしょうから、この位置から見たわけでは全くありません。
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