木原の水神宮は、霞ヶ浦湖岸に数多く存在する水神宮、水天宮の中でもとりわけ印象的なものです。このように湖上に突き出た形で造られた水神宮は、私が霞ヶ浦をめぐって知り得た限りでは、この木原だけでした。ところで、水神様は、水害と水難を防止することを祈願して祭られているものです。『霞ヶ浦の漁撈習俗』(坂本清著、筑波書林、1980年)によれば、水神様には、水に関係のある商売の繁栄の願い、求児、安産の願いも込められていると言います(同書、pp.192-193)。要するに、湖岸に暮らす漁民のあらゆる祈願が込められているわけです。
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