幼い頃から親しんできた地元の菱木橋が架け換えられて(1999年3月竣工)、古い記憶がまたこの実世界から消えてしまいました。菱木橋は出島村が誕生して間もない1955年(昭和30年)の秋に完成し、村とほぼ同じ歴史を刻んできました。「菱木橋の架け換え工事は8月19日から行われ、10月中旬、鉄筋コンクリートの永久橋(橋の長さ10.5メートル、幅4.5メートル)が完成した。10月13日、村長、土浦土木事務所長はじめ工事関係者で竣工式を行った。」 (『出島村史誌』、出島村史誌編纂委員会、p.37) 20世紀の現象世界を記録する試みでもある『マッピング霞ヶ浦*』から架け換え前の橋の映像を探してみましたが、きちんと撮影した映像がありませんでした。記録がないことを悔やむというよりも、いつまでもあると思っていたものがなくなってしまう現象世界故の必然を感じます。上の1997年の菱木橋はコンクリート造りだった欄干が白ペンキの塗られた鉄板に換わり、いささか格好の悪い姿になっていました。永久橋と言われながら、永久でない日本の鉄筋コンクリート文化の脆さを物語っているようにも思います。
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