昨今の釣りブームは、首都圏の都市部などから遠来する釣り人の増加現象をもたらし、このことが歴史的な呼称に異変をもたらしました。国土地理院の地図を見ると、入り江名は記載されていません。それぞれの入り江に呼称を与えて、霞ヶ浦のどこの流域で釣りをしたかを伝えたい、というニーズが発生したのでしょうか。釣り人の間では、高浜入にほぼ対応する流域は「東浦」、土浦入は「西浦」と呼ばれるようになり、これが釣りの世界で定着しつつあります。驚いたことに、三又沖を「本湖」と呼ぶ人もいます。さらに、<霞ヶ浦=西浦>であったものが<土浦入=西浦>とされてしまいました。こういった新たな呼称は、特定の人々の間で通用する非公的なものと思っていましたが、釣り人口が増加すると、これらの新呼称は抗しがたい力となって働きます。『フィッシングマップ[湖沼編][詳細]霞ヶ浦』(昭文社)の地図には、何と土浦入は西浦、高浜入は東浦と明記されました。この現象をどのように考えたらいいのでしょうか。
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