現在位置は、土浦市沖宿町の沖宿漁港の沖です。土浦入に岬状に突き出た沖宿の全体が眼前に迫って見えます。先ほど崎浜の岬の突端部の沖合いから眺めた風景とは湖岸線の見え方がだいぶ変わってきました。手野町から田村町にかけての長い湖岸線と集落の家並は、縦方向に重なり合っていて位置関係はよく捉えられません。一方、沖宿町はその全体を見事に展望できます。田村・沖宿土地区画整理事業により造成されたおおつ野の湖岸側の削られた段丘が非常によく目立ちます。環境の保全、景観の保全に社会的関心が高まっているこの時代になってもなお、このような配慮を欠いた開発が相変わらず行われていることに驚かざるを得ません。 戸崎以東はかすみがうら市(旧霞ヶ浦町)になります。戸崎から加茂にかけても所々切り崩しが見られます。こうやって全体を展望してみると、これらも景観を損ねていると感じます。崎浜沖からは見えていた牛渡湖岸の霞ヶ浦揚水機場は崎浜の台地の蔭に隠れてしまいました。歩崎の突端部もその手前の有河の台地に隠れています。 土浦入のこの湖岸線には数多くの集落が湖岸沿いに細長く続いています。沖宿、戸崎、川尻などの集落は、湖岸近くに迫る台地の谷津に深く入り込み、さらに丘陵地の集落へと延びているのですが、こうやって見るとそれらの集落は台地の森や屋敷森に遮られてあまり人家が多いようには見えません。考えてみれば、これは実に不思議な風景です。この地域の人々は長い間、このような自然環境の中にその景観を保全して生活を営んできたことがわかります。一部の開発地域や何気なく切り崩された崖地にその貴重な歴史的景観を一瞬にして破壊してしまう恐さを感じないわけにはいきません。 映像クリップの解説付き画像には、風景中の場所がどの辺かがわかるように書き込みをしてしておきました。画像(5120×480ピクセル)は、ブラウザなどの条件によっては表示できない場合があります。
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