ネットで協働学習【６】勘十郎堀へ、江戸文化へ

カテゴリ: 記事「ネットで協働学習できるってホントですか？」地域: どこか
(登録日: 2003/04/01 更新日: 2012/12/05)

興味は広がり勘十郎堀探訪へ、江戸文化へ

　「かすみがうら*ネット」を共通の場として、他のメンバーから、新たな協働学習の提案が出てきました。「勘十郎堀探訪」です。3月16日の予定です。この記事が『社会教育』誌に載る時には既にその様子を伝えるホームページが出来ていることでしょう。「勘十郎堀探訪」のコーディネーターは、地元の歴史にも詳しい石川愼二さん。グループ「e-idobata」のメンバーです。

　勘十郎堀は、航行の危険を伴う海の荒波を避け、安全な舟運路として涸沼～巴川（北浦上流）間に水戸藩が工事を進めた運河です。工事は失敗に終わりましたが、その遺構は現在も残っていて確認することができます。

　舟航ルートを調べると、当時の地域社会がどのように結ばれていたか、物資はどのようにどこを通って江戸へと運ばれたのか、どこが栄えていたかなどを詳しく知ることができます。またこれと関連して、仙台藩が内陸に貞山堀という運河を作ったこと、さらにこの運河は阿武隈川～那珂川の上流に運河を作って内水面航路を涸沼～北浦～利根川と結びつけようとしていたこと、また霞ヶ浦*から江戸へつながるルートには関宿経由のルートだけでなく、印旛沼経由のルートも存在していたことなどが芋づる式に導き出されてきます。これまで全く縁もゆかりもなかった別の地域が舟運で結ばれていたことがわかってきます。さらには江戸の都市文化を舟運が支えていたこともわかってきます。舟運の視点は江戸文化の視点とも重なってきます。東京周辺にも市民参加型ネット「江戸ネット」が生まれることへの期待も高まります。

生涯学習の面白さとは何か

　生涯学習で大切なことの一つは、「考えたことをまとめること」です。観察したり体験したことを自ら振り返り、それをレポートにしたりして「まとめる」というプロセスを経ることで、経験したことが知見として、さらには知識として熟成したものになります。心の中で反芻してお終いでは、同じ体験が自分自身の中で知識として血肉化していきません。経験したことを表現してみることは、何より自分自身との対話を促します。そこから気づかなかったことに気づいたり、さらに体験したことの意味を深く吟味することができるようになります。そのためには、それぞれの学習者が自分の「ポートフォリオ」を作りながら、お互いのサイトを見合うことの出来るネット環境が必要となります。市販のホームページエディタでは使い方が難しくてごく一部の人しか使いこなせませんが、PushCornを使うことで、誰もが気楽に学習の中身にいきなり入り込み、知らず知らず自分自身の学習を楽しむことができるようになります。

　世の中ではeラーニングの試みも行われるようになってきましたが、学習者が主体的に思い思いの学習を進めることのできるPushCornによる「eポートフォリオ」型の協働学習は、一歩先を行くeラーニングの試みであるとも言えます。

　さまざまな団体などの主催により、地域体験的な学習会などが行われています。残念なことに、そうした活動の殆どがレポート化されることなく、学習会を実施してそれで終わっています。生涯学習講座にも「まとめ伝えること」まで至っていないものが多いのです。

　「生涯学習の面白さとは何か」。この原点に立ち返り、生涯学習を見つめ直してみると、これまで慣習的に組んできたプログラムをちょっとコーディネートし直すだけで、ずっと興味の湧くものに変わったり、「かすみがうら*ネット」の例のように、IT活用が学習をより楽しく、面白くするのに役立ったりします。

　皆さんも、こうした例をヒントに、学習者が集い、お互いの学習意欲を刺激しあえるような生涯学習講座を企画されてみてはいかがでしょうか。

【ACCESS】

●東北芸術工科大学・メディア環境研究室（前川道博研究室）
〒990-9530 山形市上桜田200
E-mail: maekawa@mmdb.net
http://www.mmdb.net/mlab/

公開講座「PushCornワークショップ『楽しく協働学習』」
http://www2.yamagata-net.jp/ws/
●「かすみがうら*ネット」ホームページ
http://www.kasumigaura.net/
●「PushCorn」ホームページ
http://www.mmdb.net/pushcorn/

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