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かすみがうら*ネット記録アルバム

ネットで協働学習【5】ビデオで体験を伝えることも学習体験

地域: どこか
(登録日: 2003/04/01 更新日: 2012/12/05)

ビデオで体験を伝えることも学習体験


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調査船がいあ船長の船内トークをネットに公開したら大きな反響が


 家庭でもインターネットのブロードバンド化、常時接続が進み、ネットにビデオを公開して学習体験の様子を伝えることのできる環境が整ってきました。この環境の進展が市民参加型ネットにさらに大きな可能性を広げてくれます。

 霞ヶ浦の調査船「がいあ」の船長さんが、新船の慣らし運行のため、かすみがうら*ネットのメンバー数人が2回に渡り、乗船させていただきました。

 霞ヶ浦*の周辺に暮らしていても、舟航体験のある人は数少なくなりました。船で霞ヶ浦の自然を体感できることは大きな感動体験となり、地域の魅力の発見、地域理解に役立ちます。見て・触れて・体験して感動する。こういう感動体験が学習の動機づけに役立つことは言うまでもありません。

 初回の舟航体験をした人の感想を引用してみましょう。

「霞ヶ浦航路を銚子まで往復してきました。完璧な船の整備、準備のお陰で、大変乗り心地の良い、恵まれた天候で気持ちのよい素晴らしい航行でした。周囲を車で行くのとは全く違った霞ヶ浦のよさを味わう事ができました。
 水辺は不思議にやすらぎをもたらしてくれますが、霞ヶ浦周辺に、霞ヶ浦にかかわりを持って暮らす人たちが、今日のような体験をしたらきっと霞ヶ浦に誇りを感じ、もっと自分達の地域を大切に感じてくれるだろうと思わずにいられませんでした。」

 2回目の舟航体験では、DVカメラで撮影したビデオからネット配信用のビデオクリップを作り、試しに私のホームページ『マッピング霞ヶ浦*』に掲載してみたところ、多くの方が自宅からビデオクリップを見て、その疑似体験から面白さや興味を誘発されたようです。予想以上の反響の大きさに驚きました。

 横利根川を航行する様子をそのままビデオクリップにしました。想定外のコンテンツは、がいあ船長と私のフリートークです。わずかのフリートークの中にさまざまな話題が綴られました。陸上交通に比べ、燃料コストもかかり速度も遅い船の文化がいつの間にか消えてなくなってしまったこと、それと共に自分たちが暮らす地域の様子を水上から眺める機会がなくなってしまったこと、価値観が多様化しつつある今、ゆっくりと船から地域を見つめることのできる道草食いの文化が地域理解に役立つこと、高度経済成長期に急速に発展した都市が現在は衰退してみるも無惨な姿に変わってしまったこと、常陸国府が置かれた石岡の街がこの地域では歴史が古く、古代の文化遺産が現在に継承されたこと、などなど。

 がいあ船長の話も魅力的で、その博識ぶりにも知的好奇心を喚起する力があります。このようなトークを、例えば生涯学習センターの教室で聞いた場合と比べ、何がどう違うだろうかと考えてみるのも興味深いものです。レクチャーになると、どうしても話を受け身的に聞くという姿勢になってしまいます。話し手の方もあらかじめ準備した話をすると、構えた話になってしまって、このフリートークのような気楽さになりません。

 話し手も聞き手も構えることなく、気楽に話し、その話を気楽に聞くということができます。さらに船内での話ですから、舟航の臨場感と共にそれを楽しむことができるわけです。同乗した人はわずかですが、ネットを介して多くの方に同じ体験を味わってもらうことができます。教室では実現できないことが、いとも簡単に実現してしまいます。ビデオクリップですから、特別な編集をする必要もありません。DVカメラとパソコンがあれば、誰でも比較的手軽にビデオクリップを作ることができます。誰もがこのような情報発信の担い手になれるわけです。

 ある人は、この話が誘因となって、横利根川の歴史や石岡の歴史などを学び始めました。メーリングリストでもお互いの情報交換などをしています。話はさまざまな視点へ飛び火して、参加者の興味がどんどん広がっていきます。ネットでビデオを見た人の感想です。

「ビデオクリップは静止画と違い、臨場感が全然違います。ちょっと、目から鱗でした。何か、処理がめんどくさいという先入観で、今までは敬遠していましたが、なるほどこういう形でクリップを蓄積していけば、映像百科的なものが出来ると思いました。今後の様々な体験には、デジカメとDVカメラと両方必ず持っていくことにしました。」

 学習体験したことの面白さを人に伝える方法としてビデオのネット配信が極めて有効であることを確認することができました。

 大切なことの一つは人を野外へ、現地体験へといざなうことです。その機会があれば、デジカメで体験したこと、観察したものを他者に伝えることができます。その場で交わされる会話も同時に収録し、ネットに載せることができれば言うことありません。そうすると、ネット上で協働学習に参加できなかった人にも、ほぼ同等の体験を伝えることができます。ビデオには、このように学習の誘発効果があります。ネットでしかもブロードバンドだからこそできるものです。
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