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泳げる霞ヶ浦

里山のため池の保全について考える

カテゴリ: 宍塚の里山 地域: 土浦
(2004/11/18 更新日: 2018/08/27)


記録日: 2004/11/07 国民宿舎水郷

2004年11月7日(日)PM1:00〜4:30 於:国民宿舎水郷
主催:NPO法人宍塚の自然と歴史の会、読売新聞社

今年、20数年ぶりに宍塚大池の水抜きを行いました。目的は外来魚の駆除と生態系の保全。

古老の話では「かつては腰まで浸かってウナギを捕まえたり、村の行事のひとつだった。」
田んぼに水を送っていたため池の役割がなくなり、久しく行われていませんでした。
東京大学の鷲谷先生の研究室からも若手の助っ人を呼んで台風の合間をぬって地引網。

ブラックバスやブルーギル、鯉やフナが大漁でした。
逃れた魚は、水路に仕掛けた網でゲット。
これから水抜きによって植生、水生昆虫、魚類にどのような変化が生じるか?継続的に調査が行われます。
 
(1件)
01 なぜ宍塚大池の水抜きが必要か


講演要旨
 生物多様性条約にもとづいて国際的・国内的な取り組みが進められている「生物多様性の保全」は、気候変動条約による温暖化対策とともに、現在では、人類が持続可能性を確保するためのもっとも重要な社会的テーマともなっている。そのための日本のトータルプラン「新・生物多様性国家戦略」では、人の営みの場でありながら豊かな生物相を維持してきた伝統的な農業生態系(里地・里山)の生物多様性保全上の意義を評価し、保全のための「手入れ」の重要性について述べている。
 伝統的な稲作農業におけるため池は、農業生産に欠かせない水資源を安定的に供給する上で重要な役割をはたすものであり、古来、その地域の季節的な降水パターンなどの環境条件に応じた定期的な手入れがなされてきた。それに応じて多様な生物が育まれ、水資源のみならず豊かな恵みと楽しみを地域に与えてきた。しかし、近年では農業の近代化や開発、地域社会の変化などによってその手入れが疎かになり、外来種の導入と相俟って、恵みも楽しみも失われ、ため池を生活の場としてきた水草や水生昆虫などは絶滅危惧種になった。
 生物多様性の保全と健全な生態系の回復のためには、新たな仕組みと手法による「手入れ」が必要であるが、それは絶滅危惧種などを指標とする生態系の保全・再生のための科学的な協働管理としての「順応的な取り組み」でなければならないだろう。宍塚大池で実践されようとしている市民・地域と研究者の協働による「水抜き」と生物モニタリングの取り組みは、これまで例をみない生物多様性保全・再生のためのため池の手入れとして、環境の世紀21世紀にふさわしい取り組みであるといえるだろう。
 
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