琴平神社(通称こんぴら様)の現在の建物はいつ頃に建てられたものなのでしょうか。小さいながらも、歴史的な風格があります。『新治地区神社誌』(茨城県神社庁新治支部、1992年)には、「明和二年、四国金比羅宮より分霊。現存する記録によると、安永四年、土浦城下中城町不動院境内に社殿を建立(略)明治二十二年には敷石及び旗立石等が寄進され、寄進人員は六千余名に及んだ。」とあります(同書、p.38、(注)明和2年は1765年、安永4年は1775年、明治22年は1889年)。18世紀の建立ですから、霞ヶ浦*周辺地域の歴史の古さを考えれば、それほど古い歴史とは言えないでしょう。潮来市の稲荷神社の創建が1763年ですから(→「〔98/08〕稲荷山公園・稲荷神社」参照)、それとほぼ同時期のものです。霞ヶ浦*の舟運による繁栄が背景にあることが察せられます。不動院境内に神社が創建される辺りにも日本の信仰の不思議な側面があらわれています。 境内に残る手洗石は、『新治地区神社誌』には「天保十一年、手洗石建造」(p.38、(注)天保11年は1840年)とあるので、おそらくその時のものなのでしょう。台座の石の彫物にも興味が引かれました。
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