学習教材は、一般的には既成の知識が教科書のような形で学習者に与えられるものであると考えられてきた。また、情報資源は知識の例証として多量の情報資源の中から精選され、展示・出版に供されてきた。その結果、学習(情報収集や知識形成)プロセスで対象とされた一次情報の殆どは人の目に触れることなく、忘れ去られてきたと言える。
「総合的な学習の時間」の導入、情報のデジタル化、WWWの普及等による学習環境の変化は、教材や学習素材のあり方においても大きな変革を促すものである。従来のように教科書等によって知識を与え、これを習得するという学習方法ではなく、学習者それぞれが自らの学習テーマを持ち、一次情報の中から意味ある情報を取捨選択できる新たな学習環境の提供が望まれる。自らの一次情報を他者に提供し、また学習プロセスの中で他者の情報を負担なく利用できるようにすることが、主体的学習に望まれる支援機能の要件である。
WWWに代表されるハイパーテキストは、本来、個人が知識を獲得するプロセスの中で形成される知識の構造、情報の相互参照構造をハイパーリンクの形で情報の網目として外在的に表現できるところに特徴がある。
学習はこうした絶えざる発見プロセスの繰り返しである。主体的な学習を支援するシステムにはこの<発見→学習>という絶えざるプロセスを常に支援することが求められる。ハイパーテキストの特性を活かし、学習プロセスでその都度、情報の網目を学習者が視認できるように外在化することが学習支援には有用である。
| |