鹿島神宮の鹿は現在では鹿島アントラーズのマスコットとして有名かもしれません。鹿島の鹿は古くから神の使いと考えられ親しまれてきました。昔、鹿島神宮の森では自由に鹿が行き来していたようです。土浦藩に出仕していた藤森弘庵は、紀行文『航湖紀勝』で、「神域の森は両手で抱えるほどの大木がこんもりと繁り、鹿が鳴いている。なるほど、鹿島という名称は偽りではなかった」と記しています(藤森弘庵『航湖紀勝』、大森林造訳、筑波書林、1993年、p.20)。下に採録した「神鹿について」には、723年頃から香島が鹿島と書くようになったのは鹿との縁によるものであると説明されています。
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