丘陵地の水田では溜池を設けることにより農業用水の確保がされてきました。茨城の台地には至るところに溜池があります。かすみがうら市宍倉にある戸沢池もそうした溜池の一つです。周囲の環境を眺めてみればわかるように、戸沢池は小高い台地の谷間(谷津)に設けられ、この溜池の下流となる谷津地には水田(谷津田)が広がっています。どこにでもよくある溜池の一つだった戸沢池に一種の異変が起こりました。戸沢池がかすみがうら市(旧霞ヶ浦町)十景に選ばれた後、池の周辺が公園として整備されてしまいました。駐車場も設けられています。純農村といってよいこの地域で、溜池にも「景勝地」という価値が付加される時代が来てしまったのか、といささか複雑な思いにとらわれます。土浦市の宍塚大池のように、里山本来の環境を損なうことなく保全するという配慮が欲しかったと思います。皆さんはどう思われるでしょうか。
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