行方市(旧玉造町)甲の高須集落は、霞ヶ浦ふれあいランドの真ん前から霞ヶ浦湖岸に沿って広がっています。この高須という地名は、樹齢800年と言われる巨大な一本松によって有名になりました。1981年に出版された『水郷風土記』(中村ときを著、筑波書林)には、在りし日の「高須崎の一本松」の写真が掲載されています。「土手下から傘形に広がった枝葉は、東西一八メートル、南北一二メートル、高さ六メートルといった雄大なもの。ただ一本で、さながら森を思わせる樹相を作っている。」(『水郷風土記』pp.182-183) 高須崎の一本松は、『日本古木銘木誌』には、鶴ケ岡八幡宮の公孫樹と並ぶ、わが国二大老木の一つと紹介され、「末梢は地を這うように繁り、竜躍って湖水を呑むが如き雄姿」と評されたといいます。かつては、霞ヶ浦の波打ち際にあったということですが、往年の風情は偲ぶべくもありません。『玉造の昔ばなし』には、この一本松にまつわる話が紹介されています。(参考文献:『玉造の昔ばなし』堤一郎著、筑波書林、1983年)
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