長年、霞ヶ浦周辺に暮らしながら、水郷地帯はこれまで縁遠い地域でした。途方もなく平坦で、整然と区画された田園地帯でもある水郷の各地域が、一体どのように特徴づけられるのかは、私にとっても非常に興味深いテーマです。また、水郷は、霞ヶ浦にも隣接する地域ではありますが、どちらかと言えば、常陸利根川、外浪逆浦、横利根川、利根川に隣接した地域になります。水郷の水郷たる所以は、その名の通り、水とその土地との親和性にあります。とりわけ茨城県稲敷市(旧東町)から千葉県香取市(旧佐原市)にかけての利根川以北は、1590年以来、開墾、干拓が進められてきた結果、形成された陸地です。1590年、徳川家康の命によってこの地の開墾が開始され、十六島と呼ばれる島が次々に開発されていきました。近現代にも干拓が行われ、陸地は拡大し、それと共に霞ヶ浦流域はさらに狭められていきました。現在では、これらの地域は完全に陸地化されましたが、昭和の頃までは、舟を使って稲作が行われていました。いわば水際の半陸地でもあったわけです。十六島開発に関しては、『水郷十六島の農民』(上・下)(箕輪徳二郎著、筑波書林、1980年)が参考になります。「〔97/08〕水郷路(行方〜水郷)」の情報整理に当たっては、同書を参考にしました。
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