これは、かすみがうら市(旧霞ヶ浦町)の観光用帆曳き船です。白帆に風をはらんだ様には霞ヶ浦ならではの風情があります。かつて霞ヶ浦の湖上を彩った数多くの帆曳き船は、漁業がトロール漁法に変わった1960年代に急速に姿を消しました。帆曳き網漁の最盛期には900隻があったと言います。現在は観光用の船しかなくなりました。帆曳き船は、明治10年代、当時の旧・坂村(現在のかすみがうら市坂)の折本良平によって考案され、霞ヶ浦におけるワカサギ・シラウオ漁の花形として活躍しました。私の幼少時代には数は少なくなりましたが、それでも1960年代後半にはまだ見ることができました。湖上に繰り出した帆曳き船の姿は美しく、今でもその光景が脳裏に甦ってきます。
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