帆曳き船の考案者は殆どの方がご存じないかもしれません。旧・新治郡坂村(旧佐賀村坂、現在のかすみがうら市坂)の志戸崎に生まれた折本良平(1834〜1912年)が考案者です。現在、歩崎観音境内に残る「折本良平翁記念碑」に折本の業績が刻まれています。折本は当初、シラウオ漁のために帆曳き網漁法を考案したと言われています。1897年(明治30年)には、第2回水産博覧会でシラウオの帆曳き網漁法の発明により表彰されました。考案年には諸説あるようですが、ここでは『霞ヶ浦の系譜』(レイモン・アザディ著、筑波書林、1995年)の年表に従って、1877年(明治10年)ということにしておきましょう。この後、帆曳き網漁は霞ヶ浦沿岸の各地に伝播していき、他の人によってさらに改良が加えられていきました。旧・佐賀村田伏(現在のかすみがうら市田伏)の人によって、八郎潟にも帆曳き網漁法が伝えられたようです。
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