石岡市染谷は筑波山地の近くに佇む山・龍神山の麓の台地にあります。染谷の台地には幾筋もの谷津が入り込んでいます。常陸風土記の丘の水際公園はそうした谷津地を利用して作られた水辺環境です。その風土記の丘に面する台地の一角に波付岩があります。かつての流海(霞ヶ浦)の流域がこの辺まで入り込んでいたと伝えられています。波付岩の台地のさらにその先には、恋瀬川沿いの低地が見えます。このことからも、波付岩の下の谷津地が恋瀬川とほぼ同じ高さにあることがわかります。「波付石 染谷の西北石倉にあり、波築石又は波止石と云ふ、高さ三丈余、幅凡そ七尺頂上に国常立尊を祭る、口碑に伝ふる所に拠れば、往古此辺霞ヶ浦の一部にして波涛常に此に激す、当町の西方より東に廻る恋瀬川の流域即ち其遺地なりと、今其地形を観察するに其説信ずべきを覚ゆ、古歌に 古へは海原ならん此山の 浪付石と聞えてしりぬる (以上 明治43年<1910>石岡誌)」 (石岡市文化財関係資料編さん会編『石岡の地名』、石岡市教育委員会、1996年、p.131)
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