外浪逆浦を一年前に訪れた時も、やはりこの時と同じく、荒涼とした湖の風景が印象的でした(→「〔97/08〕外浪逆浦景観」)。波の逆立つ海というのがそもそもの名の謂れですが、霞ヶ浦、北浦とは違う表情があります。外浪逆浦が淡水化されたのは、常陸川水門が設けられてからのことで、それまでは、利根川、常陸利根川(常陸川)をつたって海水が入り込む流域でした。「海」という呼称の方が外浪逆浦には合っています。なぜ外浪逆浦が、霞ヶ浦、北浦と違う表情を持つのか。改めてその違いを比べて見ました。まず、湖岸一円に生活臭がないことが挙げられます。古くから津(湊)が形成され、人と共生してきた湖、これが霞ヶ浦・北浦の特徴ではないかと思います。外浪逆浦湖岸は、洲がいつしか陸地となった平坦な土地が周辺に広がり、現在もなお人の住む地区はまばらです。次に、霞ヶ浦・北浦と違い、湖岸に台地が迫っていません。湖の遥か彼方まで見通せてしまうこの空間感覚は独特なものです。湖の実質の広さ以上に、広漠とした印象を抱く理由は、この広大な平坦さにあります。
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