「かすみがうら*」という呼び方について
「霞ヶ浦」は、「霞ヶ浦(西浦)」を指す場合と「霞ヶ浦水系」(霞ヶ浦(西浦)・北浦・外浪逆浦・常陸利根川)を指す場合があります。そのため「霞ヶ浦」という呼び方はいつでもどこでも混乱します。「かすみがうら*ネット」では、霞ヶ浦に*を付けて、これらを「霞ヶ浦*」または「かすみがうら*」と呼ぶことにします。「霞ヶ浦」という文字は子供たちやお年寄りにとって難しいということも聞きますので、当ネットの名称はひらがな書きの「かすみがうら*ネット」にしました。湖だけでなく、「霞ヶ浦*」と接する河川・用水路や地域社会・自然環境も含めて「かすみがうら*」を広く捉えていただき、市民の活動や情報ネットワークとの接点を考えていただくと、「かすみがうら*ネット」はもっと豊かな意味を創出することになるのではないでしょうか。「かすみがうら*ネット」がこのような広がりを考え、知識の豊穣を生む契機になれば幸いです。ご参考までに以下に霞ヶ浦*を捉えるいくつかの視点を挙げてみました。この他にも霞ヶ浦*を捉える視点があるのではないでしょうか。
自然環境としての霞ヶ浦*
霞ヶ浦*には豊かな自然環境が残っています。護岸堤の建設などによる環境の変化、水質汚染などによって自然環境は大きな影響を受けてきましたが、その一方、自然環境を保全し、失われた自然環境を回復させる取り組みもされてきています。葦(ヨシ、アシ)などの植物には水質の浄化作用があることが知られており、水辺環境を無機質な護岸堤の環境から植物が自生する環境へ戻す取り組みなどがされてきています。霞ヶ浦*では行政ばかりでなく、多くの市民グループによる自然環境保全の取り組みが広がりを見せてきました。未来永劫に渡り、霞ヶ浦*の自然環境を残していくことは、21世紀を生きる私たちにとって大切な課題ともなっています。
危うい自然環境
ブラックバスなど外来種の魚を誰かが霞ヶ浦*に放したことによって、霞ヶ浦*の生態系が壊されてきていることは、自然環境が極めて危険な状況に置かれていることを証す一例です。こうした問題を私たちはどのように考えればいいのでしょうか。また自然環境を保全・回復させるために私たちには何ができるのでしょうか。
霞ヶ浦*はどの程度汚れているのか、また汚れつつあるのかきれいになりつつあるのかなど、霞ヶ浦*の現状を知ることも大切です。行政や市民の手で継続的な水質調査が行われています。こうした情報を分析したり、自ら調査を始めることも霞ヶ浦*の理解に役立ちます。
歴史を刻む霞ヶ浦*
霞ヶ浦*は、古くは「流れ海」と呼ばれる太平洋の入り海でした。流れ海の最奥部・石岡市高浜の岸には海の波が寄せ、人々は夏にこの海岸で涼を楽しんだと『常陸国風土記』に記されています。歴史的には、利根川の河川付け替えにより、利根川の土砂が霞ヶ浦*に流れ込むようになり、人はこの土砂を堆積させて肥沃な水郷の水田地帯を作り出し、湖の形を変えていった結果、現在のように流域が分離しつつも連続する霞ヶ浦*の構造になりました。さらに霞ヶ浦*の出口には常陸川水門を設け、湖岸に護岸堤をめぐらすことによって霞ヶ浦*は水害のない湖へと変わりました。こうした視点から現在の霞ヶ浦*、そして未来の霞ヶ浦*を捉えてみると、新たな理解が生まれるかもしれません。
周辺地域への視点
霞ヶ浦*周辺の人々は、20世紀まで船を用いて生活していました。水域や湿地は人や車が通れる陸地となり、交通手段は鉄道や車に替わり、いつしか湖は人々の行き来を阻むものとなってきました。霞ヶ浦*流域の社会もまた、そうした変化の影響を受けながら独自の社会・産業・文化を形成し、その姿を変えてきました。人と湖との関わり、社会と湖との関わりも霞ヶ浦*を理解する一つの視点になります。
これからの展望
霞ヶ浦*を見つめ考えることは、もっと広く私たちの社会・環境などを考えていくことにつながります。政治や行政ではさまざまな問題がうまく解決していかないことも認識されるようになってきました。それを一人一人が主体になって考え、問題を発見したり、その解決に役立てていくことに「かすみがうら*ネット」が役立てられれば、と願うものです。
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