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泳げる霞ヶ浦

在来魚復活にかける夢

地域: 土浦
(2007/02/11 更新日: 2018/08/27)

開催趣旨


「霞ヶ浦の魚はどうなっているの?」コイヘルペス問題が大きく報道されて以来、琵琶湖や宍道湖など、他の湖沼の人たちから聞かれても、コイ以外の魚についてはわからないと答えるしかない。
地元の私たちでさえ、どこにどんな魚がいるのか知らないのが現状である。
漁師も釣り人も、霞ヶ浦をあきらめてしまったのではあまりに淋しい。

 霞ヶ浦市民協会では地球環境基金の助成を受けて2005年から2006年の2年間、漁師に舟を出してもらい乗船した市民が取れた魚を調べる「1日漁師」と過去の情報を手がかりに在来魚の生息状況を霞ヶ浦の周辺101箇所について調べた「在来魚希少魚調査」を実施した。
漁師の網ではウナギやサケが取れ、驚くほど豊かな霞ヶ浦を体験できた一方、かつて霞ヶ浦に普通にいた日本固有種のゼニタナゴを見いだす事ができなかったという現実。豊かな生態系の保全と希少在来魚の復活に対して市民はどう取り組むべきか?
どのように地域で価値観を共有し、目標を設定して行動できるか?
調査報告をかねてシンポジウムを開く事になった。参加者とともに霞ヶ浦の魚について真剣に考える場としたい。
 

基調講演 琵琶湖博物館の希少魚種の継体飼育と野生復帰計画に期待するもの

(1件)
01 松田 征也氏


滋賀県立琵琶湖博物館専門学芸員 松田 征也氏
1985年にゼニタナゴを約100匹霞ケ浦美浦村から譲り受け、以後飼育を続けている。

200匹以上増えた年もあれば、30匹で絶滅かと危ぶんだ年もあった。ゼニタナゴはドブ貝に秋産卵し、翌年4〜5月に孵化する。エサは最初プランクトンで、成長すると藻類を好む。寿命は2〜4年。

継体飼育の難点は遺伝的多様性が低く(近親相姦の感じ)天然に戻しても定着しないのではないか、また地域の宝、生態系のシンボルとして位置づけられるかがポイント。
 

霞ケ浦里浜魚類調査報告

(1件)
01 諸澤 崇裕氏


筑波大学大学院 生命環境科学研究科 諸澤 崇裕氏

2005年と2006年の魚種と個体数、重量を計測比較。
2005年は6回、2006年は5回。場所は稲敷市古渡の「川岸屋」の張り網。計量の後は、試食、霞ケ浦の豊富な魚種を堪能する。

去年と比べて、重量で差があったのはハクレン、チャネルキャットフィッシュの数が減ったのが要因。

数量においては今年の方が多い。
ブルーギルの数が約12倍になっている。
 

霞ケ浦・希少魚生息実態調査その2

(1件)
01 熊谷 正裕氏


霞ケ浦市民協会:熊谷 正裕氏
2006年8月〜10月 霞ケ浦流域以外にも範囲(涸沼、北部印旛沼、横芝町高谷川、茂原市周辺)を広げ生息調査を行う。13回述べ41箇所

調査方法はモンドリに練りエサを入れて約1時間。
タモ網、釣り、採集した後は放流した。

結果、ゼニタナゴは見つからなかった。
在来タナゴではアカヒレタビラ、外来タナゴではタイリクバラタナゴが多かった。
 

ゼニタナゴ里帰り計画

(1件)
01 萩原 富司氏


平成16〜18年度、(独)環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて、シンポジウム、生息調査、1日漁師など住民参加型イベントを行うことができた。

琵琶湖博物館からゼニタナゴを譲り受けた。

ゼニタナゴ復活には地域住民の関わり方が欠かせない。ため池農業や淡水魚漁業の役割が大きい。

まずはゼニタナゴの記憶を風化させないこと。
淡水魚との接点を増やし、ビオトープやため池で人工増殖を行いながら、地域住民の宝として認識を深めていくことが重要である。
 

シンポジウム資料

(1件)
01 シンポジウム資料

ビデオでも見れます

(1件)
01 在来魚復活にかける夢

質疑応答


会場からは、ゼニタナゴが生息していた環境はどういった所なのか?それを取り戻せば復活するのか?

ゼニタナゴは水草を食む魚のようです。
下が砂地で水草があって産卵する二枚貝のある閉鎖水域に生息する。

なぜ、ゼニタナゴなのか?コイでもフナでも在来種ではないか?

ゼニタナゴ以外のタナゴ(タイリクバラタナゴやオオタナゴ)が増えて、ゼニタナゴだけが減った原因は何なのか?

地域で実際にビオトープでゼニタナゴを飼育している方からの報告もあって、熱気を帯びたシンポジウムでした。
 
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