◆宿り木(やどりぎ)Loranthaceae Viscum album ◆古語では「ほや」「ほよ」(和名抄)と呼ばれていた。 ◇万葉集巻の十八4136、大伴家持の歌に あしひきの、 山の木末(こぬれ)の、 寄生(ほよ)取りて、插頭(かざ)しつらくは、千年壽(ほ)くとぞ 題に天平勝寶二年正月二日國の廳(まつりどころ)に餐(あへ)を諸郡司等に給う宴の歌一首とある。 意味は、深山の梢にある宿り木を取り、冠に飾り挿すことは千歳を祝すことである。ここではあがたや国に千年の幸よあれと詠んだ。
◇源氏物語には 宿りきと 思ひ出(い)でずば 木の下(もと)の 旅寝もいかに寂しからまし
やどり木は 色変わりぬる 秋なれど むかしおぼえて すめる月かな(東屋の巻)
我もまた 憂き故郷を 荒れ果てて たれやどり木の 陰をしのばん(蜻蛉の巻)【参考・源氏物語・古典の中の植物/金井典実/北隆舘】
源氏物語には 宇治八の宮の子、浮舟は常陸の介の後添えとなった母、もと中将の君と共に常陸に下っていたが中の君に京へ呼び戻された。薫と浮舟は中の君のすすめで結ばれるが中の君の夫は浮舟につよい横恋慕を抱き自分のものにしてしまう。浮舟は身の置き場がなく仏門に帰依する。その後入水を試みるが高僧によって助けられる。
ここの宿り木の榎の木には木蔦も幹に絡まっている。ふるーい昔が偲ばれる大木である。
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