「『石岡』という地名は、近世、『府中』あるいは『平村』ともいわれた地域が、明治2年(1869)に改称され、名付けられたものである。それ以前、この呼称は、近世期の文書の中には全くといってよいほどにみられず、改称時より530年以上も前の14世紀前半の文書の中にわずかに見い出されるのみである。」(石岡市文化財関係資料編さん会、『石岡の地名』、石岡市教育委員会、1997年、p.13)このように『石岡の歴史』は、常陸国の府中藩が版籍奉還の際に石岡に改称されたという興味深い事実を詳しく伝えています。古代都市・国府が中央権力によっていきなりこの地に生まれ、さらに明治新政府によって府中が「石岡」という地名に突然変更されたことなど、石岡には興味が尽きない歴史な因縁があります。この点で、集落が発展して形成されたこの地域の村や町の中で、石岡には古い歴史を持ちながら、明らかに他と違う特異な一面があります。
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