帆曳き網漁法は、帆曳き船の帆に受けた風を力にして、そのまま横に進んで網を曳くという独特なものでした。現在、観光用帆曳き船で漁をすることはないので、今となっては、その横曳きの姿を見ることはできません。『マッピング霞ヶ浦*』で度々採り上げた映画『米』(1957年、今井正監督)には、その漁の様子が描かれています。ご関心のある方は、『米』をご覧になるといいのではないでしょうか。湖の浅いところに網を敷くとシラウオが捕れ、深いところに敷くとワカサギが捕れるということです。ところで、帆曳き網漁は、私は最近まで、霞ヶ浦だけのものと思っていましたが、秋田県・八郎潟干拓の記録映画に、帆曳き船の様子が記録されており、大変驚きました。『折本良平と帆曳を語る』(坂本清編著、筑波書林、1986年)では、その関係について解説があります。田伏出身の坂部吉蔵という男が明治35年頃、八郎潟に行って漁と水産加工で利益を上げ、後に八郎潟に帆曳き網漁を伝えたと言うことです。八郎潟では、帆曳きは「打瀬(うたせ)」と呼ばれています。
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