単一の湖「霞ヶ浦(西浦)」をめぐっているうちはあまり意識することがありませんでしたが、潮来、佐原…と霞ヶ浦*の下流域をめぐっていくうち、上流(霞ヶ浦、北浦)の異なる流域が次々と異なる流域に連結しながら利根川へと連結する霞ヶ浦*の構造的な特性が次第に意識化されてきました。湖が束なった湖、それが霞ヶ浦*です。一級河川「霞ヶ浦」は、「霞ヶ浦(西浦)」「常陸利根川(北利根川)」「北浦」「鰐川」「外浪逆浦」「常陸利根川(常陸川)」の連結した流域全体を指し、利根川に連結しています。霞ヶ浦という湖が霞ヶ浦(西浦)であることは、多くの人の共通した理解でしょう。困ったことに、湖が束なった状態の湖の全体を指す呼称がありません。建設省は、この束なった湖を一級河川「霞ヶ浦」と定義しています。私は、この矛盾を「霞ヶ浦」は「霞ヶ浦(西浦)」であると割り切って済ませてきましたが、このような割り切りにこそ霞ヶ浦*理解の基本的な問題があると認識するに至りました。歴史的には束なった湖に対する呼称のないことが、霞ヶ浦*の理解を遅れさせた、とすら思います。「霞ヶ浦」と言いながら、実際には常陸利根川や外浪逆浦などまで含めないことには霞ヶ浦を語ることができず、自ら矛盾に陥っていることを日々痛感しています。
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