映画『米』のロケ地を推論してみました。間違いはあるかもしれませんが、100%の確信度で特定できる場所もあります。多くはかすみがうら市柏崎から坂・志戸崎にかけての場所で撮影されています。農村や霞ヶ浦湖岸の風景が当時とはかなり変わってしまったので、特定の難しい場所もあります。霞ヶ浦の湖上からの風景や湖岸の風景はどこも大同小異のところがあり、それだけでは区別がつきません。しかし、湖の幅の程度(高浜入は狭く、三又沖は広く、土浦入は中間)、筑波山の見え方(高浜入より土浦入からの方が女体山側の山頂は傾斜がなだらかである)などから推論できます。湖畔の家は、筑波山の見え方からして土浦入南岸(阿見町〜美浦村)だとわかります。これのロケ地は、帆曳き漁をするのは出島村(現かすみがうら市(旧霞ヶ浦町))志戸崎の漁師(木村功、中村真二郎ら)、対岸の延べ縄漁(望月優子、中村雅子)をするのは美浦村(映画では「ミウラムラ」とセリフで語られましたが、正しくは「ミホムラ」)という物語の設定とも合っていますが、美浦村の田畑は出島村で撮影されています。シーンによって、霞ヶ浦の幅が極端に広かったり狭かったりしているのは愛嬌ですが、映画を見ている人はそんなことはおそらく気にも止めないでしょう。望月優子が入水自殺を予感させるシーンでは、高浜入の湖の最も狭い部分をパンニングして捉えていました。出口のない状況を狭い湖幅でレトリカルに表現したものと思います。
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